あなたは最近、ぐっすり眠れていますか?ただ眠いだけではなく集中力が落ちたり頭痛がしたり、睡眠不足は思った以上に辛いものですよね。
ここで「うんうん」と頷いてしまった人は要注意です。慢性化した睡眠不足はさまざまな病気や不調の原因となり、生活習慣病の一つとしても数えられる「睡眠障害」へとつながっていきます。
少しでも早く不眠の度合いを把握し、良質な睡眠を取り戻す必要があるんですよ。
アテネ不眠尺度とは世界共通の不眠症判定法
「アテネ不眠尺度」とは、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した不眠を測る世界共通の基準です。また、厚生労働省でも睡眠の質を調査するためのセルフチェックリストとして紹介しています。
内容を見てみると、状況によっては誰でも該当しうる質問が多いことに驚き、不眠症が身近なものということを実感させられます。
実際、ある企業が4000人を対象に自分が不眠症だと思うかについてアンケートをとったところ、不眠症の疑いを自覚している人は13.6%しかいませんでした。
しかしそれに対し、アテネ不眠尺度で不眠症の疑いがあるとされる人は26.3%と、2倍近くに上りました。つまり、不眠によって引き起こされる重要な不調とは裏腹に、「自分は大丈夫」と思い込んでしまっている人がかなりいるという問題点が見えてきたのです。
アテネ不眠尺度のチェックリストを使ってみよう!
では早速、あなたに不眠症の疑いがあるかどうかチェックしてみましょう。
8つの質問に対して、過去一か月の間に週3回以上経験したこととして最もあてはまるものにチェックを入れていきます。
チェックは1(問題ない、満足している)から4(非常に問題がある、不満)までの4段階で評価します。
- 寝つき(布団に入ってから眠るまでに必要な時間)はどうでしたか
- 夜間、睡眠途中に目が覚めましたか
- 希望する起床時刻より早く目覚め、それ以上眠れないことがありましたか。
- 総睡眠時間はどうでしたか
- 全体的な睡眠の質はどうでしたか
- 日中の気分はどうでしたか
- 日中の活動(身体的および精神的)について、どうでしたか
- 日中の眠気はどうでしたか
チェックが終わったら回答1=0点、回答2=1点、回答3=2点。回答4=3点として合計点を算出します。この合計点が3点以下なら安心、4~5点だと不眠症の疑いが少しあり、6~9点では不眠症の疑いあり、10点以上は医師への相談を推奨、という結果になります。
不眠症の疑いありと判定されたらどうしたらいい?
不眠症のタイプには、
- 入眠障害(なかなか寝付けない)
- 中途覚醒(夜中によく目が覚める)
- 早朝覚醒(朝早く目が覚める)
- 熟眠障害(ぐっすり眠った気がしない)
の4つのタイプがあり、原因はストレスや緊張、生活リズムの乱れ、アルコールなどの刺激によるもの、身体の不快感によるもの、などさまざまなことが挙げられます。
ストレス社会である現代、原因に全く心当たりがないという人はほとんどいないでしょう。
一番困るのは、睡眠の質が一旦落ちるとそれがさらなる不眠を招き、悪循環に嵌りやすくなってしまうことです。
10点以上で日中の自覚症状が辛いという人はすぐに病院へ行くことをおすすめしますが、4~9点の場合、一体どんな改善策をとるのがおすすめなのでしょうか?
生活リズムを整え、自律神経の乱れを正そう
日中に不快感を残す睡眠不足の場合、自律神経のバランスが乱れ、睡眠の質が低下していることが考えられます。
まずは、朝起きたら日光をしっかりと浴びて体内時計をリセットしましょう。もし朝スッキリ起きられなくても、強い光を浴びることで目が覚め日中の覚醒度も高くなります。
さらに、日光を浴びると「セロトニン」という体をストレスに強くするホルモンが多く分泌されます。しかもセロトニンは夜になると睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌を促す効果もあり、日光を浴びることは睡眠の準備をするためにとても重要です。
生活リズムを整えることで自律神経の乱れも正され、良質な睡眠が取りやすくなります。
入浴やストレッチなど良質な睡眠に良い習慣を取り入れよう
良質な睡眠を取るためにはリラックスした状態でベッドに入ることが重要です。そのためにぜひ取り入れたいのが副交感神経を優位にする入浴とストレッチです。
- 38度ぐらいのぬるめの湯船に20分程度浸かってリラックスする
- 1分程度の簡単なストレッチをしてみる
上記の2つを試してみましょう。
すると精神的なリラックス効果が得られることに加え、体のコリがほぐれて不快感も和らぎ、睡眠に適した状態で就寝することができるんです。時間がない時は入浴ではなく10分程度の足湯でもOK。ちょっとした工夫で驚くほど睡眠の質が上がりますよ。
まとめ
ちょっと寝不足なだけ、自分に不眠は関係ない…と簡単に考えていても、アテネ不眠尺度をチェックしてみると不眠症の疑いありになってしまった、という人は意外と多いもの。
ショックかもしれませんが、世界的な尺度で見ても自分がお疲れモードということを自覚し、生活習慣を見直して体を労わってあげましょう。
そして、少しでも不安を感じた場合は悪循環に陥る前に医師に相談することをおすすめします。